貝合(かいあわせ)
平安時代の物合(ものあわせ)の一つ。左右にわかれ,あらかじめ準備した同じ種類の貝を出しあい,優劣を競う遊戯。1040年(長久元)の「斎宮良子内親王貝合」は,貝の豊富な伊勢の地で催され,海辺を模した洲浜(すはま)台が作られ,和歌が添えられた。「堤中納言物語」の「貝あはせ」は,貝合を目前にした貝の収集のようすを描く。このような本来の貝合は平安末期からしだいにすたれ,貝覆(かいおおい)と混用されていった。貝覆は180対あるいは360対の蛤(はまぐり)の貝殻を左右両片にわけ,一方を並べて他方にあうものを探す遊び。やがて貝殻の内側に絵を描き,貝を入れる貝桶(かいおけ)も蒔絵(まきえ)など豪華なものが作られるようになり,婚礼調度の一つとなった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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