源氏(げんじ)
皇族賜姓の一つ。814年(弘仁5)嵯峨天皇が信(まこと)以下の皇子女に源(みなもと)姓を与えて臣籍に下したのが初例。皇室経済困窮の打開と皇族の藩屏構築をめざして,仁明・文徳・清和・陽成・光孝・宇多・醍醐・村上・花山・三条の各天皇の皇子女らに源姓が与えられ,それぞれ始祖の天皇名を冠した源氏諸流がうまれた。このうち嵯峨・文徳・宇多・醍醐・村上の各流は大臣を輩出して廟堂で摂関家につぐ勢力を誇り,鎌倉時代には一時摂関家をこえる実権を握ることもあった。この4流の傍流と仁明・清和・陽成・光孝・花山・三条の各流は,下級官人にとどまるか下野・途絶する者が多かったが,一部は武士として発展した。武士化した源氏諸流のなかで質量ともに最大なのは清和源氏であり,平安中・後期にたびたび反乱鎮定に功をあげて全国に勢力を広げた。同じように成長した皇族賜姓の桓武平氏と覇を競い,源平内乱で平氏を討滅することで全国の武士を公的に統合する鎌倉幕府を開いた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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