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下人(げにん)

中世には隷属民の身分呼称で,所従と同様に世襲的に人身隷属支配をうけた。名主・百姓と下人・所従が,中世の2大被支配身分である。古代の下人は奴婢に限らず下層の被支配者を広く概括した呼称なのに対して,中世の下人は百姓などから転落して主人の支配下で使役された身分である。財産同様に売買・譲与され,主人を訴える主従対論も禁じられた。中世を通じて主人から離脱する動きがみられたが,新たに下人になる者もたえなかった。その契機には,みずから保護を求めた場合,贖罪のため従属契約書である曳文(ひきぶみ)をだした場合,債務で身代となった場合,人身売買された場合などがある。近世には名子(なご)同様の隷属農民,または奉公人一般をさす呼称になった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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