桐一葉(きりひとは)
新歌舞伎の代表作。坪内逍遥(しょうよう)作。1894~95年(明治27~28)の「早稲田文学」に発表。初演は1904年3月東京座。豊臣家崩壊を,多数の人物の思惑と行動のなかに描く長編。驕慢な淀君,豊臣家を守ろうと心を砕く老臣片桐且元(かつもと),若き木村長門守などが印象的に描かれ,桐の葉が木から落ちるのをみて豊臣家の運命を且元が悟る「片桐邸」,且元と長門守が別れを惜しむ「長柄堤(ながらづつみ)」はたびたび上演される。新史劇の創造をとなえた逍遥は,歌舞伎の手法を用いながら筋の合理的展開と個性的な人物像を描こうと試み,成功した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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