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狂言面(きょうげんめん)

狂言に使用される仮面の総称。能と比べ狂言では仮面を使用することが少ないため,種類は十数種に限られる。喜劇的な要素の強い狂言自体の性格から,ユーモラスで大らかな表現を示すものが多い。おもな種類には,七福神などの俗信仰を反映した夷(えびす)・大黒・毘沙門,地獄の鬼の武悪(ぶあく),格の低い神を示す登髭(のぼりひげ),男の幽霊の鼻引(はなひき),動植物などの精霊である空吹(うそぶき)や賢徳,老人の祖父(おおじ),老女や醜女を表す尼や乙(おと),現実の動物として猿・狐・鳶(とび)などがある。空吹・賢徳・祖父・乙などには古面が多く,その成立の早さを物語り,猿と狐もそれぞれ日吉社と稲荷社の使者として,狂言以前の成立が推定される。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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