狂歌(きょうか)
伝統的な和歌の形式で,滑稽な内容を反古典的な表現で詠んだ短歌。鎌倉・室町時代にすでに歌人の座興として行われたが,詠み捨てが原則で伝えられるものは少ない。江戸時代になると俳諧と並ぶ新文芸として喜ばれた。半井卜養(なからいぼくよう)・豊蔵坊信海(ほうぞうぼうしんかい)ら貞徳門下の俳人によって京都を中心に盛んとなり,由煙斎貞柳が大坂の庶民層に導入して,浪花ぶり狂歌の大流行となった。江戸では独自の文芸が勃興した18世紀半ばに,若い知識人の唐衣橘洲(からころもきっしゅう)・四方赤良(よものあから)(大田南畝)らの武家や,平秩東作(へずつとうさく)・元木網(もとのもくあみ)ら好学の町人を中核として天明狂歌の最盛期を迎えた。寛政の改革後は鹿津部真顔(しかつべまがお)・宿屋飯盛(やどやのめしもり)(石川雅望)らの町人が職業的狂歌師として層を全国的に拡大したが,基礎的教養の欠如から質的低下をきたして衰退,明治期にはほとんど消滅した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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