久隔帖(きゅうかくじょう)
最澄(さいちょう)の書いた現存唯一の書簡。「久隔清音」の句で始まることからこの名がある。最澄が,高雄山寺(現,京都市神護寺)の空海のもとにいた門弟の泰範(たいはん)にあてたもので,813年(弘仁4)11月25日の日付がある。内容は,空海が40歳を賀してみずから作った詩が示されたことに対し,その中の「法身礼図」などの大意を問いただすとともに,最澄が和詩を贈るために必要な「釈理趣経」などの借覧を泰範を通じて空海に依頼したもの。その書は清浄にして純雅,気品が高く,王羲之(おうぎし)の「集字聖教序」を学んだことがうかがえ,宗祖にふさわしく澄徹(ちょうてつ)した美しさをもつ。奈良国立博物館保管。縦29.4cm,横55.2cm。国宝。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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