祈年祭(きねんさい)
「としごいのまつり」とも。「とし」は穀物のみのりを意味し,その年の稲の豊穣をすべての神々に祈願する祭。神祇官登録の全官社に神祇官で班幣(はんぺい)するもので,律令国家形成とともに成立した律令制祭祀の一つ。2月4日に行われた。唐の祈穀郊(きこくこう)の影響も考えられる。798年(延暦17)には国司班幣が始まり,官幣と国幣にわかれた。「延喜式」神名帳では3132座に班幣されている。成立以来重視されていたが,10世紀初頭には衰えはじめ,応仁・文明の乱で廃絶。1869年(明治2)伊勢神宮で再興。現在,伊勢神宮では2月17日に五穀の豊穣を祈念して,神饌(しんせん)を供える大御饌(おおみけ)の儀と,勅使が参向する奉幣の儀が行われる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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