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紀伝道(きでんどう)

大学寮の四道の一つで,漢文学・中国史を教授した学科。文章博士(もんじょうはかせ)2人の教授陣と,そのもとで学ぶ文章得業生(とくごうしょう)2人,文章生20人,擬文章生20人で構成される。大学の教科書としては,紀伝の書である三史(「史記」「漢書」「後漢書」)と,文章の書である「文選(もんぜん)」が奈良時代から学ばれていたが,紀伝道が成立したのは9世紀中期に入ってからである。文章得業生・文章生の対応する試験は本来は秀才・進士(しんし)の二つだったが,紀伝道の成立後は事実上秀才に一本化され,文章得業生がその正規の受験資格者として位置づけられた。文章生を選抜する文章生試は式部省によって行われて省試(しょうし)とよばれ,その受験資格者として擬文章生がおかれた。秀才試及第者は学者官人,文章生から出仕した者は一般官人として活躍し,ともに参議以上に昇進する者を輩出した点で,紀伝道は四道の花形であった。文章生になれなかった者にも,年挙(ねんきょ)による任官の道が開かれていた。なお紀伝道を文章道とよぶのは明治期以降の誤伝である。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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