北前船(きたまえぶね)
近世後期~明治前期に,おもに日本海航路で活動した買積廻船集団。近世前期に松前場所に進出した近江商人に雇用され,同地と越前国敦賀を結ぶ航路を往復した運賃積の荷所船(にどこぶね)にかわり,宝暦~天明期に荷所船から独立した買積廻船主が越前・加賀・佐渡などに出現し,大坂と松前を直接結ぶ取引を始めたもの。松前・日本海・瀬戸内・上方の地域市場を結び,その間の商品価格差でもうける買積形態は,領主的流通を崩しながら全国を結びつけ,近代国民市場の形成を促した。明治30年代の鉄道網の形成により衰退し,その歴史的役割を終えた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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