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木地師(きじし)

山中の木を切って木彫の材料として粗挽きしたり,ろくろを使って椀・盆などの木地(挽物)を作る山民的な職人。良材を求め山野に仮泊しながら木地挽を行ってきた。中世には轆轤師(ろくろし),近世には木地屋ともよばれた。滋賀県東近江市(かつての愛智(えち)郡小椋(おぐら)荘)の君ケ畑(きみがはた)・蛭谷(ひるたに)などの木地師には,文徳天皇の第1皇子惟喬(これたか)親王が,第4皇子惟仁親王(のちの清和天皇)との位争いに敗れ,この地に隠棲し木地師の祖神になったとの伝承がある。この伝承は全国に広がるが,小椋荘蛭谷に住んでいた大岩氏によって近世初頭に作りだされ,流布されたものと考えられている。君ケ畑の木地師は小椋姓を,蛭谷の木地師は大岩姓を名乗り,近世には全国木地師の支配本所を争った。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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