滑稽本(こっけいぼん)
近世小説の一様式。中本型の対話体の文章主体で,滑稽な内容をもつもの。1802年(享和2)刊行の十返舎一九の「浮世道中膝栗毛」(のち「東海道中膝栗毛」と改題)は好評で,22年(文政5)まで続編が書き継がれた。この作品の成功は同様の様式による多くの追随作を生み,ジャンルとして定着。他の代表的作者に「浮世風呂」の式亭三馬,「八笑人」の滝亭鯉丈(りゅうていりじょう)などがいる。広義には,滑稽を旨とする近世後半期の散文作品,また見立て絵本をも包括し,宝暦・明和期頃流行した談義本も前期滑稽本として加えることもある。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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