国家主義(こっかしゅぎ)
国民主義・民族主義と並ぶナショナリズムの訳語の一つ。本来18~19世紀に西ヨーロッパに出現した国民国家形成にともなう国民主義を意味し,自由主義的傾向をもつものであった。日本では1888年(明治21)雑誌「日本人」で「国粋保存旨義」と訳された当時は,後年の国家主義のような排他性をもたなかった。欧米列強の圧迫のもと,日本の独立達成,条約改正の実現を意図するもので,日本の伝統を維持しながら欧米文化を採用しようとしていた。日本で国家主義といって強調される場合,国家至上主義の主張,君民一体の家族国家観,日本文化優越論などが認められるが,この国家主義が強い排他性をもつのは満州事変以後で,ついには超国家主義とよばれるものも出現した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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