御前帳(ごぜんちょう)
天皇・将軍などの手元に掌握された重要帳簿。戦国大名後北条氏の所領役帳なども御前帳とよばれるが,歴史的にとくに重要なのは豊臣秀吉が徴収した1591年(天正19)のものである。これは,国絵図とともに天皇に献納された国郡別の検地帳で,朝鮮出兵での軍役負担の基礎帳簿ともなった。徳川家康も1605年(慶長10)に御前帳と国絵図を徴収しており,以後,正保・元禄・天保の郷帳もその系譜をひくものである。国郡別に編成された御前帳の徴収は,国絵図と並び,関白・将軍権力が古代以来の国家公権を継承することを誇示するものであった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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