御前沙汰(ごぜんざた)
室町幕府の政務決裁の体制。幕府初期には評定・引付が設けられ,訴訟をはじめ政務が議定されたが,2頭政治の一翼を担い評定・引付を掌握した足利直義(ただよし)の没落後は,しだいに衰退。3代将軍義満以降は将軍の親裁する御前沙汰がとってかわる。評議決裁手続や役割は時期により異なるが,応仁の乱前は将軍,管領,旧来の評定衆の一部,奉行衆を構成員とし,6代将軍義教以降,意見などを通じて奉行衆の活動がしだいに拡大。乱後,体制は大きく変動し,有力構成員であった管領や旧来の評定衆が姿を消す。同時に将軍臨席の評議が開かれなくなったため,指令の伝達や伺事(うかがいごと)の取次役となった将軍側近衆が,奉行衆とともに大きな役割を担いはじめた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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