輿(こし)
人力で運行する乗物。着座する台の下に2本の轅(ながえ)を通し,それを駕輿丁(かよちょう)が肩にかつぐものを輦輿(れんよ),力者(りきしゃ)が手をそえて腰にあてて運ぶものを腰輿(ようよ)という。輦輿は屋形の頂上に鳳凰(ほうおう)や葱花(そうか)をすえて鳳輦(ほうれん)・葱花輦といい,天皇が乗用した。腰輿は牛車(ぎっしゃ)に比べ難路などの通行も容易で,上下諸人に広く用いられた。上皇・摂関以下,公卿・僧綱(そうごう)などの遠行用とした四方(しほう)輿,屋形のない最も簡略な塵取(ちりとり)輿などがある。武家も輿を使用したが,室町時代には武家の使用は,将軍により家格の高い者に制限された。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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