古今著聞集(ここんちょもんじゅう)
鎌倉中期の説話集。20巻。橘成季(なりすえ)編著。1254年(建長6)成立。神祇・釈教・政道・忠臣・公事・文学など30の編目で697話を収め,うち約80話は「十訓抄(じっきんしょう)」などからの後人による増補。序と跋を備え,跋文に勅撰集をまねて撰進後の宴を催すとあるなど,編纂への明瞭な意思がみえる。各編は,編目について「そのことのおこり」を説く小序をおき,跋文によれば以下年代順に説話を配する。編成の整備,実録重視の姿勢,雅俗にわたる取材には百科全書的性格がある。過去にさかのぼり編目を意味づけ,話題に歴史的な展開を確かめて現在を相対比する点,話題が日本の出来事に限られているところなどに,現実認識への行為性やイデオロギー的な自国意識がみられる。「日本古典文学大系」「日本古典集成」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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