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国例(こくれい)

国衙慣習法のこと。平安中期以降,中央集権的な律令機構や法律の変質とともに,諸国独自の国衙行政機構(所)や役人(在庁官人)が整備されるようになると,律令法規はもはや国衙を動かす力を失い,これらの機構や職制にみあう独自の慣習法的行政法と刑罰体系が,国々の実情に即して多様なかたちをとってうまれてくるようになった。当時この国衙慣習法を「当国の例」とよび,国司・在庁官人・百姓らは紛争に際し,中央政府・荘園領主・他国などに対して自己の正統性の根拠として顕示した。国例は鎌倉時代以降も国衙が機能していた間は存続し,南北朝期に国衙の機能が守護に摂取されるにともない,守護領国法に吸収されて発展的に解消した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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