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国体明徴問題(こくたいめいちょうもんだい)

美濃部達吉の憲法解釈が反国体的であると非難されたことに始まる一連の政治問題。原理日本社など国家主義団体や在郷軍人会の攻撃が,政友会の岡田内閣倒閣運動と結びついて政治問題化し,議会主義勢力や軍部内穏健派などの後退をもたらした。1935年(昭和10)2月18日貴族院で菊池武夫が,美濃部の天皇機関説への政府の処置を質したのに端を発し,政友会・在郷軍人会・民間右翼も政府に対応を迫った。3月23日衆議院も国体明徴決議案を可決。政府はしだいに譲歩し,8月3日,10月15日の2回にわたる国体明徴声明で天皇機関説を否定し,事態の沈静化を図った。事件の裏に皇道派の暗躍をみた林銑十郎陸相は,同年7月真崎甚三郎教育総監を更迭して,永田鉄山軍務局長暗殺事件(相沢事件)をひきおこし,さらに2・26事件の遠因ともなった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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