国衙(こくが)
地方行政組織である国の役所。または役所の所在地。また国の行政機構総体をもさす。国府・国庁などの語との異同については諸説あるが,国衙の用例は平安時代以降に増加。役所としての国衙は政庁・倉庫群・学校(国学)などから構成され,11世紀以降の史料にみえる政所(まんどころ)・田所(たどころ)・税所(さいしょ)・大帳所・健児所(こんでいしょ)などの「所」も,その一部は奈良時代から存在したらしい。行政機構としての国衙は,11世紀以降国司遥任(ようにん)の一般化にともない,国司の代理人である目代(もくだい)が組織した留守所(るすどころ)が,在地豪族や中央から土着した中下級貴族からなる在庁官人を指揮するという体制となるが,しだいに両者の対立が強まり,後者を御家人に組織した鎌倉幕府によって,国衙は守護を中心に再編成されていった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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