国意考(こくいこう)
儒教や仏教に対し,日本固有の古道の優位を主張した書。賀茂真淵(まぶち)著。1760年(宝暦10)成稿,のち加筆して65年(明和2)頃成立。版本は1806年(文化3)刊。古代中国で禅譲(ぜんじょう)と放伐(ほうばつ)がくり返された事実をあげてその非を論じ,日本の天地自然なる政道を是とする。日本の上代に親族結婚が存在したことを,同母兄弟を真の兄弟とする習俗があったという観点から擁護しつつ,人の本質は鳥獣に異ならないとした。これらには老荘思想の影響がうかがえる反面,仁義礼智などの道徳をいっさい拒否する立場を鮮明にしており,儒者の激しい反発を招いた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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