粉河寺縁起絵巻(こかわでらえんぎえまき)
和歌山県紀の川市粉河にある粉河寺の本尊千手観音像の造立譚(ぞうりゅうたん)と,その霊験譚1話を表した絵巻。1巻。12世紀後半の制作。類話は1054年(天喜2)に僧仁範が起草した「粉河寺大率都婆(おおそとば)建立縁起」をはじめとし,数種の説話集などに収録される。絵は舞台となる建物や風景を何度もくりかえし描く構成と,対象との距離を常に一定に保つ視点に特徴があり,ほのぼのとした内容の説話を穏やかな筆致で淡々と描く。変化には乏しいが,素朴な味わいがある。火災のため巻頭部を失い,また巻末に至るまで波打つような傷痕が残る。縦30.8cm,横1984.2cm。粉河寺蔵。国宝。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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