估価法(こかほう)
沽価法とも。物品の売買・貢納における公定価格・換算率。古代~中世にある程度機能した。估価は京の東西市司(いちのつかさ)や諸国の市司が時価にもとづいて定め,估価帳に記録した。諸官司や国の売買は,これによるのが建前であったが,現実の東西市における売買では,估価によることはほとんどなかったと推定される。一方,律令制的収取が交易に依存する度合を高めるにつれて,貢納の換算率として估価の重要性が高まった。交易雑物や地子(じし)交易物など,地方から中央への貢納物を各国が交易によって調達する制度では,各国ごとに時価よりも安い国例としての估価が定められた。国司はそれによって強制的に買い付け,中央へは估価法にもとづいて納入し,両者の差額を取得することが行われた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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