小売(こうり)
商人どうしの取引である卸売に対して消費者への直接小量販売をいう。中世の商品取引の発達により,中世末の商人には卸売商と小売商の分化がみられた。江戸時代には問屋―仲買―小売の流通機構が成立し,原則として問屋・仲買は卸商で,小売商が最終消費者に小量販売する体制が整った。江戸時代の小売商には,越後屋・大丸屋のような大規模な店舗商業や近江商人・富山売薬商人のように全国を回る行商人もいた。近代の工業化による大量生産は大規模小売業を必要とし,明治期には勧工場,ついで百貨店を登場させた。大正期以後は公設市場が設けられ,チェーン店・通信販売も出現し,消費組合・購買組合も発達する。1960年頃にはスーパーマーケットが,さらに70年代以降はコンビニエンス・ストアが台頭した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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