香道(こうどう)
沈香木を銀葉(ぎんよう)をへて間接的にたき,その香りを賞翫して人格形成をはかる芸道。室町時代に佐々木導誉(どうよ)(高氏)を頂点とする婆娑羅(ばさら)の美意識から茶道・華道とともに創成期を迎えた。平安時代以降の練香(ねりこう)から沈香木のみをたく時代へと移行した。沈香木の香りに六国五味(りっこくごみ)という分類が確立し,練香による薫物合(たきものあわせ)から沈香木による名香合や組香へと発展した。しかし,実際に香道が大成したのは江戸初期で,三条西家の御家流と蜂谷家に伝えられた志野流をはじめ,建部(たけべ)流・米川流・風早(かざはや)流・大枝(おおえだ)流などが活躍。香道の最盛期は18世紀で,その後は茶道や華道のような普及はみられなかった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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