小歌(こうた)
短詩型の歌謡。時代により内容は異なり,定義にも諸説がある。平安時代には,宮廷女官の唱える五節舞(ごせちのまい)の出歌(いだしうた)など,男性楽人の大歌(おおうた)に対する女性歌曲の総称であったらしい。南北朝~安土桃山時代には,曲舞(くせまい),平曲(へいきょく)の座頭,早歌(そうが)うたい,放下師(ほうかし),田楽・猿楽法師などが伝承し,民衆から知識層の人々まで広く愛唱された諸種の歌謡の総称。江戸時代には弄斎節(ろうさいぶし)・投節(なげぶし)・古今節など民間の流行小編歌曲も含み,七五七五,七七七五など一定の詞型をもつ歌が多く,一節切(ひとよぎり)尺八・笛・鼓などで伴奏することもあった。今日では狂言の劇中歌や能の謡(うたい)の一部に,曲節のおもかげをしのぶことができる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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