郷蔵(ごうぐら)
郷村に設置された穀物倉庫。江戸時代,年貢米の保管用に建てられたのがはじまり。年貢米は収穫後,各村の郷蔵に納められたのち,幕領では江戸・大坂の幕府蔵へ,藩領では藩庫や市場へ回送された。江戸中期以降は,こうした年貢米の一時保管に加え,備荒政策の展開にともない貯穀蔵としても利用された。農民から供出された穀物が備蓄され,災害時に救済用に貸し付けられた。はじめ村役人の私蔵を利用することが多かったが,不正な出穀が発覚したため,幕府は1789年(寛政元)村負担による郷蔵の建造を命じた。蔵の管理は村役人にゆだねられ,貯穀・出穀の状況は帳簿に記帳された。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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