広益国産考(こうえきこくさんこう)
大蔵永常(ながつね)の農学書。8巻。第1・2巻は既刊の「国産考」にあたり,全巻脱稿は1844年(弘化元)。永常死後の59年(安政6)に全巻刊行。1巻は特用作物と農具一覧,2巻以下に栽培・加工を説明。日用の食用作物・果実・嗜好作物のほか,養蚕・織物・砂糖・紙・櫨蝋(はぜろう)などに関する60種に及ぶ産物とその加工技術を詳述。農家の自立経営の安定向上が一国の利益になるとする農学思想のもと,加工原料作物の栽培,国産の奨励をして殖産興業をめざす。近世後期から進展めざましい商品貨幣経済に対応した商業的農業を提唱するすぐれた技術論である。「岩波文庫」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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