郷(ごう)
古代の地方行政組織の単位。大宝令の施行により開始された国郡里制では50戸を1里として編成したが,律令国家の地方支配の強化のため,717年の霊亀3年式(旧説の霊亀元年は3年の誤りか)によって,それまでの里を郷と改称し,その下にさらに里を設置した郷里制がしかれた。郷は50戸から編成され,郷内から郷長1人が任じられたが,現実の自然村落とは無関係な行政上の単位であった。郷里制は740年(天平12)頃廃止されて地方組織は国―郡―郷となり,律令国家の地方統治の基本単位は郷となった。しかし10世紀以後,地方社会の変動にともない郷はすたれて荘園公領制へと移行し,たんに公領の一定地域をさすようになった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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