戸(こ)
戸主のもとに編成された律令法上の基本的単位集団。天皇・皇親以外の人々は,必ずどこかの戸に所属した。戸は,5戸で相互扶助・検察の単位である保(ほ)をつくり,50戸が集まって里(り)を形成するというかたちで,国郡里制の地方行政組織の末端にくみこまれていた。戸令に戸主には家長をあてると規定され,家をそのまま法制上の戸とみなす建前であった。現存する古代戸籍にみられる戸はかなりの大家族で,これを当時の実態とみる考えもあるが,律令制の当初から家のような明確な社会的集団が一般に形成されていたことは疑問であり,徴税の単位として位置づけられたための法的な擬制を多少なりとも含むことが想定される。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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