軍記物語(ぐんきものがたり)
戦(いくさ)物語・戦記物語とも。合戦を主要な題材とし,その背後にある社会と人間,思想を描いた物語。平安時代の「将門記」や「陸奥話記」などにその性格の一端が認められるが,質的には中世初期の「保元物語」「平治物語」をへて「平家物語」で頂点を迎える。中世後期の「太平記」は半世紀にわたる南北朝動乱をみつめた40巻に及ぶ膨大な作品だが,とくにその後半部は戦争のもたらす絶望的な状況を冷徹な目で描写し,「平家物語」とは異なる表現世界を構築した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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