蔵人所(くろうどどころ)
内裏校書殿(きょうしょでん)におかれた令外官(りょうげのかん)。810年(弘仁元)3月設置という。平城(へいぜい)上皇と対立した嵯峨天皇が,弁官局・衛府・式部省・中務(なかつかさ)省などの実務官人を殿上に常侍させて,訴訟・人事・軍事などの実権を掌握し,詔勅の速やかな伝達と機密保持を図ったもの。その後は,宮廷社会の管理・運営を担う機関として機能し,令制以来の内廷諸官司や新設の宮廷諸機関である禁中の各所(ところ)を統轄し,その活動を支えるために禁野・御薗(みその)・御厨(みくりや)などを領有した。11世紀後半以降は,諸種の供御人(くごにん)の本所的存在としてその特権を保証するとともに,彼らへの課税を重要な財源とした。職員には別当・蔵人頭・五位蔵人・六位蔵人・非蔵人・所雑色(ところのぞうしき)・所衆(ところのしゅう)・出納(しゅつのう)・小舎人(こどねり)などがあり,蔵人所牒・蔵人所下文などの文書を発給した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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