蔵元(くらもと)
江戸時代,大坂・江戸・敦賀・大津・長崎などにおかれた諸藩の蔵屋敷で蔵物の売却や出納をつかさどった商人。多くの場合掛屋(かけや)を兼ねた。はじめは藩の蔵役人が担当したが,17世紀中頃から富商が行うようになった。この場合,諸藩から扶持米を給与されたり,蔵物を売却する際に口銭を与えられ,何かと利益が大きかった。このため大商人は競って蔵元・掛屋になろうとし,18世紀中頃の大坂には,100人をこえる蔵元が存在した。諸藩は蔵物を売却した収入で藩財政を運用していたが,やがてこの売却代金だけでは不十分となり,蔵元・掛屋からの融通に依存するようになった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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