1. 用語
  2. 日本史 -く-
  3. 熊野詣(くまのもうで)

熊野詣(くまのもうで)

熊野参りとも。和歌山県の熊野三山に参詣すること,またはその人。平安中期頃から修験者たちが修行地として好んで参集した。この修験者の間に教団が編成されて,熊野三山は天台系修験の一大拠点となり,彼らを先達(せんだつ)として平安後期の院政時代には法皇・上皇が頭陀行(ずだぎょう)のためにたびたび参詣した。やがて伊勢路が開かれて,熊野三山と伊勢神宮との関係が説かれるようになると,各地から熊野道者が参集し,「蟻の熊野詣」の諺(ことわざ)をうむほどに盛行した。これに対して三山側では御師(おし)・先達組織を整え,彼らの活躍によって熊野の霊験が宣伝され,熊野詣はますます盛んになった。修験道の色彩が強いが,浄土思想の発展とともに熊野三山を観音の浄土の地と仰ぐ風もみられた。室町中期以降,盛時の面影を失っていった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

この記事が気に入ったらいいね!しよう