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熊野三山(くまのさんざん)

熊野三所権現とも。熊野本宮大社(和歌山県田辺市)・熊野速玉大社(同新宮市)・熊野那智大社(同那智勝浦町)の総称。自然信仰に由来し,神仏習合により阿弥陀信仰や補陀落(ふだらく)渡海信仰と結びつき,霊場化を進めた。院政期の院・貴族の熊野詣をきっかけに熊野信仰が広まり,鎌倉時代以降は武士や庶民にまで及んだ。有力者は檀那として御師(おし)に把握され,師檀関係が成立。この関係ははじめは特定の結びつきをもっていたが,しだいに御師間で売買・譲与が行われるようになった。檀那の熊野詣に際しては先達が案内役を務める一方,各地の檀那に牛王(ごおう)宝印や守札などの配布も行った。1090年(寛治4)以降,熊野三山は形式上は園城寺の僧が兼帯する検校(けんぎょう)の支配下にあったが,実際には現地を統轄する別当が支配した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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