口分田(くぶんでん)
班田収授の法に従い,戸口数により,戸を単位として班給される田地。輸租田。飛鳥浄御原令(きよみはらりょう)制下では受給資格に制限はなかったらしいが,大宝令以後,6歳以上という年齢制限が付された。死亡後は班年に国家に返還される。法定面積は男子に2段,女子に1段120歩(家人・私奴婢はそれぞれ3分の1)であったが,現存する戸籍などによると,実際はそれに満たないのがふつうで,国ごとの基準額で実施していたらしい。居宅の近くに班給される原則に対して,郡や国をこえての支給もみられる。また律令法上は有主田で私田とされていたが,のち公田と意識されていった。もっとも班田収授が実施されなくなると事実上私有田となり,初期荘園に吸収されたり,名(みょう)に再編成されたりしていった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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