国絵図(くにえず)
日本で16~19世紀に作成された国郡単位の絵図。代表的なものは江戸幕府が全国に命じて作成させたものだが,その他,藩が領内支配のために作ったものや,民間に流布した版行図など,近世に多様な展開をみせた。前史としては古代国家により徴収されたとされる国郡の図が考えられるが,古代・中世の原図や写しは現存せず,実態は不明。近世では各時期によって内容が変化するが,基本的には国・郡・村の名称や石高などを書きあげた郷帳と一組のものとされた。山川を骨格とした地形表現のなかに,道・航路などの交通関係の描写と注記,記号化された村・町が記された。寺社も絵画的に描写された。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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