国(くに)
律令制下の地方行政単位。律令制以前は地方豪族である国造(くにのみやつこ)の支配地域を「クニ」とよんだが,大化の改新以後,国司の前身となる地方官が派遣され,のち683~685年(天武12~14)国境の画定が行われて制度として確立した。令制では大・上・中・下の4等級に応じて国司の員数が定められ,国司には畿内の官人が赴任し,国内の全行政を任された。国には郡・里が重層的に組織された。畿外諸国は京からの行程によって近・中・遠の3段階にわけられ,調庸物の運京時期の基準にされた。国は律令政治のために定められたが,中世でも守護設置の単位となるなど,律令制の衰退後も近世まで地方区分としての命脈を保った。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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