宮内省(くないしょう)
�@「みやのうちのつかさ」とも。大宝・養老令制の官司。八省の一つ。被管の1職・4寮・13司のなかには木工(もく)寮・主殿(とのも)寮・内膳司・造酒司など,令制以前から氏族制的に天皇に奉仕していたものを再編成した官司が多く,これらを統轄して天皇への供御(くご)にあたった。なかには一般官人への饗饌(きょうせん)にあたる大膳職のようなものもある。天皇が畿内に伝統的にもっていた官田(大宝令では屯田)は宮内省の直営であった。宮内省は天皇の家産を支えるうえでは重要であったが,政治的には重視されなかったようで,被管諸司の多くも平安初期に統廃合され,規模を縮小した。�A皇室事務を管理する近代の官庁。1869年(明治2)7月太政官の一省として設置。初代宮内卿万里小路(までのこうじ)博房。85年内閣制度確立とともに宮内省を閣外におき,伊藤博文首相が宮内大臣を兼任し宮中の近代的改革を推進。86年宮内省官制制定。内事課・外事課・侍従職・式部職・図書(ずしょ)寮・主馬(しゅめ)寮・御料局(のち帝室林野局)・華族局(のち宗秩寮)などの部局をおき,皇室事務や華族の管理にあたった。第2次大戦後,大幅に整理・縮小され,1947年(昭和22)5月宮内府(のち宮内庁)に改組された。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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