具注暦(ぐちゅうれき)
季節や日の吉凶などを示す暦注が詳しく書かれた暦。すべて漢字で記され,仮名暦に対し真名暦(まなごよみ)といわれる。毎年暦博士によって編纂され,11月1日に朝廷から頒布された。暦首には,年号年次・干支・納音(なっちん)・総日数,歳徳神・八将神などの方位,月の大小,各暦注の禁忌・吉事などの暦例を示す。毎月の月初めには,月建干支や諸神の方位を示し,各暦日には,上部欄外に二十八宿や七曜が朱書きされ,上段・中段・下段にわけて,詳細な暦注が記載されている。漆紙(うるしがみ)文書や木簡などの出土例があり,正倉院文書にも具注暦断簡が残る。具注暦に日記を書きこむ習慣は奈良時代からおこり,「御堂(みどう)関白記」をはじめ古代・中世の貴重な史料になっている。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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