公事(くじ)
「くうじ」とも。もとは朝廷の公務・儀式。荘園公領制で租の系譜をひく年貢に対し,庸調(ようちょう)や雑徭(ぞうよう)の系譜をひく課役を公事とよんだ。雑公事(ぞうくじ)と夫役(ぶやく)に大別され,雑公事は山野河海の特産物や手工業品など多種多様なため,万雑公事(まんぞうくじ)ともよぶ。夫役も京上夫・兵士役・陣夫などさまざまであった。公事には賦課する者の側から勅役・院役・国役・寺社役・本家役・守護役・武家役など,賦課される側から御家人役・百姓役・段銭・棟別・人別・牛別・山手・川手・関銭・津料・座銭・節料(せちりょう)・一献料などの呼称がある。収取方法には,日(月)別,段別,名別などがあり,公事地や公事家の指定もあった。近世の公事は訴訟・裁判の意味。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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