草双紙(くさぞうし)
近世中期~明治初期,主として江戸(東京)で行われた,絵を主体とする小説の一様式。赤本,黒本・青本,黄表紙,合巻(ごうかん)の順序で展開する本来的に幼童むけを建前とした絵本形式の文芸の総称。書型は中本(美濃判半截の二つ折り)を基本とし,5丁を1冊とする。寛文末頃には発生していたと思われる赤本は,ほとんどが1冊完結で,御伽噺(おとぎばなし)などの簡略な絵解きである。演劇的要素の摂取,それにともなう筋の複雑化から,黒本とよばれる2~3冊の黒表紙のものがうまれ,ついで萌黄(もえぎ)色表紙の青本が発生し黒本と同時期に行われる。1775~1806年(安永4~文化3)の青本を黄表紙と称し,それ以降の草双紙を合巻とよぶ。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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