公界(くがい)
世間・共同体・社交などを意味する言葉。公界の「公」は,私に対する広義の公で,公界は,私の世界に対置された,個々の私的利害の通用しない人と人との共同関係によってなりたつ世界を意味した。中世後期において,公界者は,特定の人に従属しないで世間に奉仕する遊女・陰陽師(おんみょうじ)などをさし,公界は世間という言葉より一般的に使用された。またこの時代,地方都市,町や村,一揆集団などの共同体がうまれると,これらも公界と称された。人と人との共同関係を表す公界という言葉は,近代の方言としても,富山県の公界上手(社交上手),沖縄県のクゲー(社交上の宴会)など全国的に分布する。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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