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民本主義(みんぽんしゅぎ)

おもに明治末~大正期に用いられたデモクラシーの訳語。1916年(大正5)の吉野作造の論文「憲政の本義を説いて其有終の美を済(な)すの途を論ず」が最も大きな影響を与えた。吉野の民本主義は国民主権であるか否かは問わず,政策決定が一般民衆の意向にもとづき,その目標が民衆の利福にあることを意味した。民本主義が近代的立憲主義の精神的根底であるとし,選挙権の拡大,責任内閣制を唱え,衆議院を政治的中心勢力とすべきであるとする吉野の主張は言論界に歓迎され,社会主義者も含む民本主義論争がおこった。第1次大戦後になると知識人やジャーナリズムの関心は社会主義にむかい,民本主義は時代の中心思潮の位置から後退。吉野自身も後には民主主義の用語を用いている。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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