苗字帯刀(みょうじたいとう)
苗字を名のり帯刀することのできる資格。江戸時代,兵農分離により武士身分が百姓以下の諸身分を支配する体制のもとでは,苗字を名のり帯刀することは武士身分に固有の特権であった。しかし幕府や諸藩は,武士身分以外の被支配身分にも,特別の社会的功績があった者,多額の献金をした者,大庄屋・町年寄などの統治に関わる補助的業務を行う者には,この特権を恩典として与えた。この特権を得ることは,百姓や町民にとっては地域社会において武士身分に準じる権威の獲得を意味し,そのため幕藩権力が在地を統治するうえで効果的な方策でもあった。明治期には平民にも苗字を名のることが許可され,廃刀令により帯刀は禁止された。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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