物忌(ものいみ)
(1)潔斎(けっさい)・斎忌(さいき)とも。一定の期間,屋内に引きこもり,心身を清らかにして慎む行為。理念上,民間信仰や神道の物忌と,陰陽道(おんみょうどう)の知識による物忌の2種類に大別できる。前者は,祭に際して神を迎える前に,神職や頭屋(とうや)らによって行われるもので,家屋や籠屋(こもりや)に引きこもり,水垢離(みずごり)をとったり別火(べっか)の生活をする。後者は,陰陽道の神々が巡行する方角を回避するためになされたり,怪異の発生や悪夢の後に行われるもので,平安時代の公家の間できわめて盛んであった。この場合には,物忌当日は閉門をし,簾(みす)・冠・袖などに物忌札をつけて籠居(ろうきょ)することになっていた。(2)神事に仕える童女・童男の名称。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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