陸奥話記(むつわき)
「陸奥物語」「奥州合戦記」とも。11世紀の中頃に安倍頼時・貞任(さだとう)父子がおこした前九年の役の始終を記した軍記物。1巻。作者未詳。俘囚(ふしゅう)の長であった安倍頼時が1051年(永承6)に国守藤原登任(なりとう)に対し乱をおこしたことから始め,源頼義が出羽の豪族清原武則の助力を得て安倍氏を打ち破るまでの経緯を記している。和風の漢文体で実録風につづる。公文書なども引用しており,乱終結まもなくの頃,官府の文書をみることのできる者が撰述しているらしい。巻末にみえる戦場から1000里の外にあって書いたとする記述を信用するならば,在京の知識人が著したとみることができそうである。「日本思想大系」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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