奈良仏教(ならぶっきょう)
8世紀,平城京の時代に栄えた仏教とその文化をいう。当時の仏教は,律令国家の管理統制下で興隆が図られ,鎮護国家を目的とした国家仏教であった。大規模な伽藍をもつ官寺が建立され,護国法要が営まれた。僧尼は国家の管理下で得度受戒し,僧尼令によりその行動が規制された。とくに為政者の仏教信仰が盛りあがりをみせたのは聖武天皇の天平年間(729~749)で,都に盧舎那(るしゃな)大仏と東大寺が造営され,各国に国分寺・国分尼寺が建立された。官寺では南都六宗を中心とする仏教教学の研究が盛んで,僧尼は官人的な存在として国家への奉仕が義務づけられた。仏教信仰の隆盛は僧の政治的進出を導き,法王道鏡(どうきょう)のような政僧も現れたが,やがて桓武天皇によって改革が試みられることとなった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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