長唄(ながうた)
江戸長唄とも。三味線音楽の種目名。歌舞伎音楽の代表的種目で,18世紀以降江戸で歌舞伎舞踊の伴奏音楽として発達したが,のちには劇場を離れて演奏のみ鑑賞されるようにもなり,そのための長唄(お座敷長唄。「吾妻八景」「秋色種(あきのいろくさ)」など)もうまれた。また歌舞伎芝居の演出上の効果音楽である抒情的な小曲(めりやす物。「黒髪」「五大力」など)もある。他種目の曲節や手法をもとりいれ,多様な曲調をもつが,一般に派手で,賑やか,拍子本位といえる。演奏形式は雛段の上段に唄方(うたかた)と三味線方が,下段に囃子(はやし)方が並ぶのが一般的である。舞踊はなく唄と三味線だけの演奏(素唄(すうた))もある。三味線は細棹を用いる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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