内済(ないさい)
通常,江戸時代に第三者が調停・仲介して紛争当事者を和解させること。その第三者の行為を「扱う」という。内済は,提訴前はもちろん,提訴後裁判途中でも行うことができた。おもに出入筋で行われたが,吟味筋でも喧嘩・口論,傷害,不義など私的性格の強い事件は,加害者・被害者双方が内済して争いをやめ,吟味下げ(吟味打切り)を願うこともあった。内済が私的な紛争解決の基本とされた背景には,社会秩序における調和の尊重,私法や裁判制度の不備・未発達,法の厳格な適用による解決より個別具体的な解決のほうが好ましいとする社会通念,喧嘩は理非五分五分という観念などがあった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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